病気について

やっぱり受けよう おたふくかぜワクチン

(2009/09/15)

 おたふくかぜによる難聴はおよそ1000人に1人の割合で発生し、ほとんどは片耳なためすぐには気付きません。しかしおたふくかぜによって起こる難聴は重症で、現代の医学では治すことができません。そのため一生に亘って不自由な生活を強いられることになります。難聴を予防するためにはワクチンしかありません。小児期におたふくかぜに感染し、難聴になった人の体験談を2例紹介します。


 私は現在高1で、5歳の時、おたふく風邪にかかりムンプスウイルスによって左耳が難聴となりました。難聴になった年齢が低かったせいもあり、最初はほとんど気にしてませんでした。(自分は聞こえなくなったんだ、という自覚はありましたが。)でも、学年があがるに連れ友達との会話で何度も聞き直したり無視してしまうことが何度もあり、すごく難聴であることが気になり始めました。気にすることじゃないと思っていても、やはり何で聞こえないんだろう何で自分なんだろう・・・どうして?そんなことばっかり考えていました。正直、難聴になって10年たつ今でも考えています。私は今までいろいろな経験をしてきました。周りのひとの声を無視してしまったことはもちろん聞こえないことを知っている友達や先生に裏切られたことや陸上部に所属していたのですが、リレーの大会で雑音が混じりチームの人の声が聞こえずバトンを落とし失格になったこと。音楽のとき左側のひとの声が聞こえないこと辛くて泣いたこと・・・もし私が難聴にならなかったら数えきれないぐらいの「辛い」がなかったんじゃないか、こんなに悩むことなかったんじゃないかって思います。でも、難聴になって感じたことがあります。ひとつは絶対に自分のことを理解してくれるひとがいることです。中学時代、聞こえないことで悩んでいたとき相談にのってもらった先生が「聞こえないことはハンデではなくて君の個性なんじゃないかな。まずはその個性を自分がどう受け止めるかだと思うよ。」と言ってくれました。すごく親身になって聞いてくれ、とても心強くて励まされました。また、すべてとは言えないけど、障がいのある人の気持ちが少しは理解することができると思います。他人を傷つける言葉が繊細に分かると思います。ほかにもたくさん、視点を変えたらマイナスからプラスになることがあるかもしれません。

 私は将来、聴導犬訓練士になりたいと考えています。すごくマイナーな仕事でちっぽけな夢かも知れません。笑われたこともあります。ですが私はこの夢を絶対に叶えたいんです。聴覚障がいのある方に携わりたいです。この夢は、難聴でなければ抱けなかった夢だと思います。難聴は本当に辛いです。片耳難聴は言いかえれば、「片耳は聞こえる」ということで理解してもらえないことの方が多くどこかで難聴だから仕方ないという一線を自分自身で引いてしまいます。だけど、悩んで自分を閉じ込めるのも悩みながらも進んでいくのも自分次第だと思います。きれいごとかもしれません。でも、自分自身を含めて、難聴の方に前を見てほしいです。同じように悩んでいる方々、聞こえないから・・・ではなく、聞こえないからこそできることを見つけませんか。以前同じように難聴である人に「失ったものにこだわるのか、残されたものを活かすのか」という言葉をことを教えていただきました。辛いことも必ずあると思います。でもそれを経験し、何かを得ることができたとしたらそれは私たち難聴を抱える人にしかわからないことだと思います。辛いけど誰にも話せないときは、インターネットで難聴者の声が載っている掲示板などをしてみてください。きっと勇気がもらえると思います。また、そのご家族の方、必要以上には悩まなくていいと思います。ただ難聴のことを知りたがったり、何か助けをもとめられたらその時はゆっくり話を聞いて、支えてあげてください。
 最後にお医者さんや健常者の方に難聴者の声をひとつでも多く聞いてもらえることを願い ます。


 私は現在大学一年生で、小2のときにおたふくに感染、右耳の聴力を失いました。小、中と全く同じメンバーのクラスだったのでその頃はあまり気にならなかったのですが、高校に入ってから徐々に片耳が聞こえないことが気になってきました。自分は他の人とは違う、劣っているんだと。本当に仲の良い友達二、三人には話せましたが、他の友達には話せず、小中の友達には話していません。私も耳鼻科医からは「片耳が聞こえるから不都合などない」と説明を受けましたが、辛い気持ち、それに音の鳴っている方向がわからない、などという不都合が少なからず生じていました。そのことも相まって友達になかなか話せず、親にも言えない日々が続きました。毎日のように涙をこぼし、投げやりな気持ちになっていました。そのころにこのホームページを知り、ここで出会う方々に勇気をもらい、少しずつ人にこのことを話せるようになっていきました。今ではブログ、mixi等、口では言えなくても、伝える手段があります。私はそれらの手段で言いにくい人には日記等に記入し、伝えています。直接口で言うのは言いにくかったり、私の場合、引け目を感じてしまったりするので、なかなかできないんです。それでその友達が離れていったらそれでおしまい。それだけの人だった、そう考えようと思っています。けれど実際は(内心はどう思っているかはわかりませんが)みんな変わらず接してくれます。一度、どこが悪くて聞こえないの?と聞かれたときも真剣に聞いてくれました。友達からしたら、大抵の話が聞こえているように見えているようで、本当に悪いの?と聞いてくる人もいますが、本人は必死なんです。少しでも聞き洩らさないよう、気を張っていたり、あまり聞き返さないように想像を働かせたり……高校のとき、もういい、と何度も言われ、そのたびに辛い思い、劣等感、それに申し訳なさを感じていました。あと、右後ろから来た車、バイク、自転車の音が聞こえず、ひかれそうになることもしばしば……歩いているときは携帯をいじったり、音楽を聴いたりということはしないのですが、それでもやはりひかれそうになることもあります。あと……ステレオは高校時代、辛い要因でした。片耳でしか聞けないので、ステレオなんて技術は不要。なのでモノラルに変換できるジャックを使用しています。ただ、右用、左用と二つ付いているイヤホンは片方つけないので邪魔です(笑)……とこんな私も中学からの夢をかなえようと薬学部に通っています。目標は薬剤師です。たとえ片耳が聞こえなくとも薬剤師になれるということを耳のせいで離れていった人に見せつけてやります。高校時代、辛いと感じていた難聴ですが、今となっては辛さも薄らいできました。因みに、席は担任に頼み、常に前の席でした。眼鏡をかけていたので、クラスメイトはそっちだと思っていたと思いますが(笑)

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