病気について

インフルエンザワクチンのお話

(2008/09/19)

 インフルエンザワクチンについて説明しますので参考にしてください。

 インフルエンザワクチンには、Aソ連型、A香港型、B型の3種類の株が含まれています。インフルエンザは抗原性が毎年のように小刻みに変化します。そのためインフルエンザワクチンは、毎年の反対半球および赤道付近の流行状況に基づき、次シーズンに流行が予想される株が選定されています。今年度は、Aソ連型はブリスベン株(昨年度はソロモン株)、A香港型はウルグアイ株(昨年度は広島株)、B型はフロリダ株(昨年度はマレーシア株)で、3株ともに変更になっています。

 ワクチンの効果については、成人の抗原性が一致した場合の感染防止効果は70%以上とされており、小児でも年長児では同等の効果が期待されます。1994年(平成6年)菅谷らは、6歳以上ではA型で80%、B型で60%、2~6歳の幼児ではA型で50%、B型では有効ではなかったと報告しています。一方、2004年(平成16年)、日本小児科学会の見解では、1歳未満では有効性は認められない、1歳以上6歳未満については有効率20~30%で接種の意義は認められたとしていますが、それまでの報告に比べ有効率は低めです。河合らはインターネットを利用した調査で0~15歳小児での有効率は年度によって42~75%であったと報告しています。海外の論文なども含めた総合的な評価によれば、2歳以上では概ね50%以上の効果はあるが、2歳未満では効果は少ないとの報告もあります。このように評価はまちまちですが、ワクチン接種によって未然に防ぐ、または重症化を防ぐことは大事です。

 乳児:米国では6ヵ月以上のすべての小児がワクチン接種推奨の対象者になっています。一方日本では1歳未満児の効果はあまりよくないといわれています。この理由の一つとして、接種量が米国では0.25ml/回×2回であるのに対して、日本は0.1ml/回×2回と少ないことが考えられます。当院でも積極的には勧めていませんが、保育所など集団生活をしている児では接種を考えても良いでしょう。また同居家族がワクチン接種をして家庭内に持ち込まないようにすることも大事です。

 13歳以上:13歳以上65歳未満の人については、近年確実に罹患していたり、昨年予防接種を受けている人は、1回接種でも十分な免疫が得られると考えられますが、この点に関しては十分な調査研究がまだ集積されていません。接種回数が1回か2回かの最終判断は、接種を受ける人のワクチン歴、罹患歴をみながら判断しますが、一般的には1回の接種で十分であるとされています。

 妊娠中の人:インフルエンザワクチンの添付文書には「妊娠中の接種に関する安全性は確立していないので、妊婦または妊娠している可能性のある婦人には接種しないことを原則とし、予防接種上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ接種すること」と記載されていますが、危険性はないというのが専門家の一致した考えです。米国では接種推奨対象者に妊婦も含まれています。ただ妊娠初期は流産など起こりやすい時期でもあるので、ワクチン接種による無用の混乱を避けるため接種は妊娠14~16週以降とします。

 65歳以上の人:65歳以下の健常者の発病に対する有効率70%以上に比べると30~40%と低いのですが、肺炎など合併症による入院に対しての有効率50~60%、死亡に対しては80%の有効率です。インフルエンザに罹っても重症化は確実に防げます。市からの補助もありますのでぜひ接種してください。また肺炎球菌による肺炎を予防するワクチンもあります。一生涯に1回接種のワクチンです。65歳以上人はぜひ考えてみてください。詳細は「肺炎球菌ワクチン」をご覧ください。

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