アレルギーについて

食物アレルギー症例(1)

(2008/08/05)

 これから当院で経験した、または治療中の食物アレルギー症例を紹介していきます。思いついたままに書き込みますので、ありふれた例、稀な例、軽症例、重症例など順不同ですのでお許しを。  

 最初は、当院で「食物アレルギー負荷試験」を行った症例です。
 まもなく4才になる男の子、生後5ヵ月時に卵ボーロ摂取で蕁麻疹、生後10ヵ月時に卵黄摂取で嘔吐と蕁麻疹があって受診しました。鶏肉は食べても問題なかったそうです。初診時の皮膚テストでは、卵(+)、ミルク(ー)、小麦(-)、血液検査では、IgE34、卵白3、卵黄2、オボムコイド2(加熱しても凝固しないため抗原性が残る卵蛋白)、ミルク0、小麦0などより卵アレルギーと診断、完全除去(卵を含有する全ての食物を除去)をしてもらうことにしました。麻しんワクチンやインフルエンザワクチンは皮膚テストを行った上で接種しました。
 2才8ヵ月時、血液検査でIgE57,卵白1、卵黄0、オボムコイド0と改善したため、自宅で卵を含有する食品を食べてもらいました。しかしホットケーキ、蒸しパンなどで摂取2時間後に発疹と掻痒があったため、完全除去をさらに続けてもらうことにしました。
 3才6ヵ月、卵を含むお菓子やバニラアイスなどが摂取可能になったため、耐性獲得(原因食物を食べても症状が出なくなること)を調べる目的で、3才10ヵ月時に「食物アレルギー負荷試験」を実施しました。方法は「厚生労働科学研究班による食物アレルギーの診療の手引き」を参考に、固ゆで卵や卵ボーロを15分毎に5回摂取してもらい、その後さらに1時間院内で観察を行いました。帰宅後も24時間変化がないか観察してもらい、耐性獲得を確認しました。
 保育所に通っている子ですが、現在は給食も制限なくお友達と一緒に食べています。典型的な卵アレルギーですが、多くは3才~小学校入学前には食べられるようになります。血液検査は耐性獲得の目安にはなりますが、最終的には負荷試験での確認が大切です。卵アレルギーがあると鶏肉(親子関係)も除去対象とされていることもあるようですが、その必要は全くありません。

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